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リトルスター第四章

        第四章 地球人の突然変異が…そして戦士が…

次の日…。
何の物音もしない静かな朝を迎えた。(朝といってもまだ5時半)
まだ誰も起きてはいないようだ、とそのとき、ナオがむくっと起き上がった、
「誰かいるの?」
耳を澄ませると、誰かが声を殺して泣いている。
「うっ…えっ。」
姿ははっきりしないが誰かがうずくまっている。
「サキ?」
「ナ、ナオ?う、うわーん」
どうやら泣いていたのはサキのようだ。
「どうしたの?何があったの?」
「夢…。夢の中で地球が…、地球が…えっえっ。」
「大丈夫よ私たちがその地球を救うんだから。ねっ?」
そのときの語りかけるナオの優しい声は、とてもさびしい声のようにも聞こえた。

その後は二人とも何も言わなかった。
「おはよ」
「よく眠れた?」
「うん。まあな。なあ、俺思ったんだけどリトルスター行きのロケットってくんのか?」
ハルはナオに聞いた。
「ええ、連絡はしておいたわ。10:25に発飛場に行く予定よ。」
「そうか。」
「リトルスターに行ったら戦士と会えたらいいね。15人位しか知らないし。」
「位しかってどういうことだ?」
「戦士年齢は7歳以上のもの、今7歳未満の子達は数に入れられてないから正式には分からないの。あと、途中で命を落としてしまう人もいるわ、私も一度経験したことがあるから。」
「そうなのか。今分かる15人ってどんなやつなんだ?」
「あっ。名前だけなら分かるわよ。」
そういうとパソコンを出して調べ始めた。
「名前と年齢だけは分かるわね。
・ ユウキ 13・ユイ 13・ナツキ 13・カズマ 11・ユウヤ 9・ユキリ 13
・ ルカ 15・マコト 11・リン 12.コウセイ 9・トウレン 15・マイ 不明
・ タクト 13・ショウ 15・タイキ 11  これで15人よ。分かった?」
「うん一応ね。」
「あのさあ、リンとかトウレンって変わった名前だとおもわねーか?」
ハルはそんなことに気づくのが得意だ。
「ええ、その二人は韓国人よ。トウレンは12歳で日本に来たからあまり日本語は使えないらしいけど。」
「へぇーでもマイっていう子は年齢が不明だよ、何で?」
サキもハルと良く似ていて不思議なことがあると聞かずにはいられない。
「マイはね。ずいぶん昔に空から舞い降りた天使なの。そのときはもうずいぶん大きくなっていて年齢が分からなかったの。名前も他の記憶も何者かの手によって消されていたの。」
「かわいそう。」
サキにはそれしか言いようがなかった。
「さあ、話はここまで。発飛場に行きましょう。もうロケットがつくはずだから。」
少し歩いたところに発飛場はあった。ここまでの道はまるで広い砂浜を歩いているようだった。
「あれっ。昨日と違う場所?」
「あ、そうなの。あなたたちが来たときにロケットが着陸したのは第二発飛場なの。ここは第一発飛場よ。だから今回乗るロケットは昨日と比べて少しだけ大きいはずよ」
「ふ~ん。ねえ、アスカ?アスカっていつリトルスターから地球に戻ってきたの?」
「えっとね。たぶんリトルスターに行ったのが半年前でしょ? それから一ヶ月ぐらいあとだよ。」
「でもほんとは半年後にしか帰れなかったんでしょ?どうして? 」
半日帰星は半年に一度しか行われていないはず…。
「戦士は別よ。そんな半年に一回じゃ役に立たないじゃない。」
ナオの説明は説得力がある。
「でも、アスカ達よくこんな砂漠の中で五ヶ月間もいられたね。」
サキは目を大きく見開いてそういった。
「うん、でも一度も外には出てないよ。おかげで手も足も元から動かさないのにもっと動かさなくてずいぶん細くなっちゃった。」
そういったアスカの手とサキの手を横に並べて比べてみると背丈はアスカのほうが断然高いのに手はアスカのほうが細かった。
「こんなに細くなっちゃうものなの?」
二人は真剣に話しているようだったので後の三人は何も言わなかった。
…。
「来るよ。」
ナオがそう言った瞬間に上からシュンッと言う音と共にロケットが降りてきてパイロットが顔を出した。
「急いでください!! 」
パイロットは異様なくらいおびえていて顔色が悪い。
「ど、どうしたんですか? 」
「い、いわなくても分かりますから。急いでください!!」
パイロットの顔は恐怖におびえていた。
「まあ行きましょう。」
五人は席についた。と同時に離陸しロケットのスピードは上がった。
「ナオ!今の地球の様子調べられる?」
アミが急に言い出した。
「ええ、調べられるけど…。どうして?」
「あのね、パイロットの心の声を読んだら聞こえたの、地球に異変が起きてるって。」
「分かった、調べてみる。」
ナオはそういうとノート型パソコンをポケットから取り出した。サイズは広げると20×30で厚さは3cm程度。
「じゃあアミ。これをリトルスターのパソコンとつなげて交信させるといいのね。」
「そうよ。」
「調べてみるわ。」
カシャカシャカシャ―。
…。
カシャカシャカシャ―。
「リトルスターアリアス交信っと。」
ピピピ。ガー―。
「どうしたの?」
「パスワード。分かる?」
ナオがサキの方を見た。
「う~ん、{始まりの星}だったと思うよ。ねえ、ハル。」
「ああ。」
ハルはうなずいていった。
「…。」
ナオは返事をしない。
「どうしたの?ナオ?」
「…。あっ、ごめん。何?」
「パスワードは{始まりの星}だよ。」
「あ、ありがと。」
「(ナオ疲れてるのかな。ちょっと心配。)」
その心配をよそにアスカとアミは久しぶりの外ではしゃいでいる。
「こ、これ…。」
ナオはパソコンの画面を見て驚いた。
「何…。」
パソコンにはこの前アスカを襲ったような生物が映っている。
「なんで?この生物は地球で生まれたんでしょ?リトルスターにいるのは変だよ。」
皆驚きを隠せない。
「ねえ、パイロットさん。後どれくらいかかりますか?」
アスカが聞いた。
「後30分ほどです。」
「えっ!そんなに!?もーできるだけ急いで! 」
「はい!」
「たぶん…ウイルスのせいだと思うの。」
ナオが突然きり出した。
「えっ!?」
四人は声をそろえる。
「昨日調べてみたんだけどこれは人間に問題があるだけじゃなくて、地球自信の環境にも問題があるの。いろいろが環境問題が昔からあるのは知ってるでしょ?現に地球温暖化で島は少なくなってるし。そんな空気中の物質とウイルスが反応を起こして突然変異が起こったんじゃないかって考えられるの。ウイルスの名は{ドリーム6}ほんの少しの量が体に入っただけで異常を引き起こすみたいよ。」
「でも、どうして名前がドリーム6なの?」
サキがいつものように聞いた。
「あのね、それは昔に一度、人間が未来に起きることを知らずに作ったものなの。けどそのときのドリーム6は失敗作だった…。ウイルスが飛ばなかったの。つまりドリーム6にあった環境じゃなったの。しかもそのときのドリーム6には幻覚を見せる作用など体に害のある物質がかなり含まれていたの。それを捨てずに残しておいたことによって環境が悪くなった今に外にウイルスたちが飛ぶようになってしまったの。」
ナオの説明は少し難しいところもあったが皆真剣に聞いていた。
「ねえ、リトルスターにも戦士はいるって言ってたよね。」
「ええ、あ、え~っともう40人近くはいるはずよ。」
「え!?どういうこと?この間は20人って…。」
アスカも驚いた。
「言い忘れていたことが一つあるの。私たち戦士は7歳までの成長がかなり早いということ。あと、敵たちのことなんだけど。」
ナオは言った。
「な、何?」
「敵たちはアンデット病なの。」
「アンデット病?何それ?」
ええ、アンデット病とは死んだだろうと私たちが思ってもまた生き返ってくるの。一思いに殺さないと魂が離れない、そんな病気なの。」
ナオの説明を四人は黙って聞いている。
「だから、ためらってしまうと人々を助けられない。現段階では敵たちは私たちよりも強いわ。ただし少しだけ成長が遅いからたくさんの敵が出てきてしまう前にできるだけたくさんの敵を倒しておかないといけないわ。」
…。
「成長しきっていない敵たちも含めてどこにいるんだ?」
ハルがナオの持っているパソコンを見ながら言った。
「それは…。いろんなところよ。もちろんそれは地球にもリトルスターにも。そしてほかの星にも…。今ほとんどの場所にいると思う。だから長いたびになるでしょうね。」
「…。」
ナオがそういってからは誰も何も喋らずに、ナオはパソコンの画面をにらみつけつつカタカタとキーボードを打っていた。
「さあ、つくよ。」
5秒ほどでロケットは着陸し扉が開いた。
「急ごう!」
ハルが勢い良く飛び出した。
「まって!近くにいるのは分かってるのにそんなに警戒心を持たずに動くのは危険だわ。」
ナオはハルに言ったが聞こえていないのかそのまま走り去ってしまった。
「追いかけなきゃ。」
サキはハルが自分の町に向かって走ったのを知りハルを追った。サキの針って行くほうに三人はついて走るとサキとハルの住んでいた町が出てきた。
「う…そ。」
そこにあった町の姿は昨日とはまったく違った。ハルもいない。
「ハルー!!」
サキがハルを捜し歩いて5分…。ふと先を見ると敵につかまったハルがいた。
「(ナオ。ハルがいた!敵に捕まってるの!きて!)」
サキはナオ達に伝えた。少し間が空いて。
「サキ!ハル!大丈夫?」
三人が駆けつけるとてきはサキに攻撃をしようとしていた。ハルは敵の横に倒れている。
「この世に存在する価値なき者。この世に存在する価値なし。スターにより分けられよ。
マイン!!!」
敵はサキを狙っていた手を止めた。しかし倒れる気配などは一切ない。
「ふふふっ。」
敵の笑う声はこの辺一帯に響いた。
「その程度のことしかできんのか?くだらん…エイル!」
敵が呪文を唱えると同じにナオの元へ強い風が…。
「きゃっ。」
ナオは空中に一度飛ばされ地面に体を打ちつけられた…。
「ナオー!」
サキが呼ぶがナオからの返事はないそれどころか少しも動かなかった。
ナオがいない4人ではなすすべがない。
「逃げられない。どうすればいいんだ。」
 とその時…。
「お前のようなやつがこの世で生きているのはおかしいな。もし生きたいというのなら生かしてやろう。ホール!その中で生きてろ。」
そう男の声がすると大きな黒い穴が敵の横に開いた。
「な!?う、うおぉぉー!」
敵はその穴の中に吸い込まれていった。
「ナオ!」
サキは呼ぶがナオはいまだに動かない。サキはナオの体に触れようとした。すると
「触らないで!!」
そういうとアスカはナオの元へ行ってナオの体の上に手をかざした。するとぽぅっとアスカのてが光だしその手をナオの体の上を通すと…。ナオの体も光りだした。
そしてアスカが手を離すと、ナオが目を覚ました。
「ナオ!?ナオ!?」
「サキ?…」
「うわーん!ナオー。死んじゃったかと思ったよぉ。」
サキは目に涙を浮かべている。
「サキ、泣くなよ。助かったんだし。」
ハルがサキの肩を持ちながら言った。
「あっ!ねぇ、敵は?敵はどうなったの?!!」
ナオははっと気がついてあせっていった。
「落ち着いて聞いてよ。ナオ。あそこにいる男の人がホールって技をつかって敵を倒してくれたの。」
「ホール?く、黒魔法!ってことはカズマ君ね。後タイキ君もいるはず!」
ナオはすごく驚いている。
「そのとおりですナオさん!僕はタイキ。そして隣にいるのがカズマです。」
タイキが言ったと続けてカズマがぺこっと頭をさげた。そして
「えっと。タイキの紹介じゃちゃんとしたものになっていないようですから。ナオさん。そして皆さん。初めまして。皆さんのことはパソコンのほうで拝見させていただいておりました。私たちのこともだいたい分かっておられるでしょう?ナオさん。」
カズマはとても丁寧な口調で言った。
「で、話変わっちゃうんだけどね。ナオ。さっきカズマの魔法が黒魔法だといったよね。じゃあナオが使うのは何?」
サキはナオの顔を覗き込みながら聞いた。
「あのね。魔法には一言で言っても何種類もあるの。そのうち大きく分けると黒と白。たとえばさっきの黒魔法。あれは、地の、いえすべてが「破壊魔法」なの。後の白魔法は回復魔法もあるし「破壊の力」もある。それに自然の力を借りることもできるわ。私は白魔法よ。けど白魔法は一つ一つの力がよっぽどでないと大きくならなくて。」
そういうと、ナオは立ち上がった。
「私の力。このままだったら何もできなくなってしまう。」
「そ、そうなんだ。」
「うん。けどね、がんばるよ。迷惑かけられないしね。」
ナオは少し寂しい声で言った。
「ねえ。カズマ敵がここまで来てるって…。」
ナオがカズマのほうへ歩きながら言った。
「それは、今まで地球へのロケットが飛んでいなかったものが、急にハルさんとサキさんが生き返りしたことでウイルスの種がリトルスターにたどり着き、今リトルスターにいる人々が発症した可能性があります。ですからこの前からこのリトルスターでも人間たちの突然変異が起きています。」
カズマはまた丁寧な口調で答えた。
「そう…。」
ナオはそのまま少しうつむいた。
「ナオ?…。」
サキは大丈夫なのかなっと思いつつ何も言わなかった。
「ついにここまできてしまったのね。」
「はい、そうなりますね。」
カズマとナオ以外はあまり話がつかめず何も言うことができない。
「さぁ。私たちの住む町はすぐそこにあります、行きましょう。」
ナオ以外の皆が立ち上がった。
「ナオ?」
サキが声をかけるが動かない。そしてハルがポンっとナオの肩をたたいた。
 ドサッ。ナオが地面に倒れた。
「ナオ!?」
声をかけても返事はない…いったい何が起きたというのだろうか…。

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